(株) 花まるラボ 川島 慶
突然ですが、まずはこの問題を解いてみてください。
10秒以内に、この中から4つの点を選んで出来る正方形を見つけられますか?
これは簡単でしたね。まずは準備運動です。
次はこちら。何と小学3年生による問題です。
よーい、はじめ!
いかがでしょうか。10秒で見つけるには、かなり難易度が高いと思います。私もすぐには見つけられませんでした。
これは、弊社で展開する「思考センス」育成アプリ【Think!Think!】(完全無料)で毎月開催しているイベントのひとつで、子どもたちからオリジナル問題を募集したものです。先ほどの問題は、その多数の応募の中から見事グランプリに輝いた作品です。これだけ多くの点を使いながら、答えが一つしか無い問題を作るのは、やってみると分かりますが、実はかなり難しいです。(その他の入賞作品も全て、私のコメントを添えてこちらでご紹介しています)
本当に「分かる」とはどういうことか
なぜこんな企画を実施しているのか。それは、「その問題の本質を理解できていなければ、自分で問題を作ることは出来ない」からです。
問題の理解には、ステージがあると考えています。
ステージ1:答えが合う
ステージ2:過程を理解している
ステージ3:解き方を人に説明できる
ステージ4:別解(別の解き方)を生み出せる
ステージ5:問題を作ることができる
理解の最終ステージである、「作問」に取り組んでもらうことで、その問題の本質やポイントを捉えることが出来るのです。そのため、子どもにとって、「自分で問題を作ってみる」というのは、大事な力を育てる、この上ないトレーニングになるのです。
良い問題が作れる子は、間違いなく伸びます。おこがましいですが、私も小さい頃から、自分で問題を作るのが大好きでした。幼児期に緻密な迷路を作るような子が伸びやすい、といわれるのも同じ理屈です。
自分で問題を作っていると、次第に、問題作成者の言いたいことが掴めるようになってきます。問題を見た瞬間に、そこに隠された「作問者の意図」を汲み取る力は、例えば中学入試でも最高峰のレベルで問われることであり、また、問題作成者をコミュニケーションの相手と置き換えれば、将来社会で最も必要となる力の一つだともいえるでしょう。
最高峰で問われる、「意図を汲む」力
筑駒・開成・麻布等のトップ校の中学入試においては、多くの場合、問題は小問(1)〜(3)のように構成されています。これは、最高難度の(3)だけでは、あまりに解ける子が少ないだろうという配慮から、(1)(2)を「ヒント」として出題しているのです。こういった意図がわかる子は、小問(1)(2)を大ヒントとして(3)に生かすことができますが、多くの子は、各小問をそれぞれ独立で捉えることしかできず、体当たりで問題に取り組むために、解くことが難しくなっているのです。
問題作成には、自由な発想力も求められます。問いを作り出す側に回る経験と、それを通じて培われる創造性は、子どもたちが将来、与えられた問題を解くだけではなく、自らの視点で「解くべき課題を見出す」力にも繋がります。
私が受け持つThink!Think!の研究授業では、取り組みやすい迷路やパズルの作問から始めることで、子どもたちが「作問大好き!」になります。問題作成者の意図を捉える力や創造性を育てることを狙いとして、毎回の授業で作問に取り組んでいます。
それでは、年中さんから保護者の方まで、本当に素晴らしい入賞作品をご紹介します。これらの作品に敬意を表し、Think!Think!アプリの中でも、実際の問題として、お名前と共に出題させて頂いています。現在、完全無料で公開中ですので、ぜひこの機会にダウンロードして、取り組んでみていただければと思います。大人の方でも(むしろ大人の方が?)十分に楽しんで頂ける内容です。
Think!Think!のダウンロードは下記リンクからどうぞ

川島 慶

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