「ゲームの要素がある教材で、算数の魅力を子どもたちに伝えたいときに大切なことは?」 学生からのインタビューに弊社クリエイターがお答え(前編)

「幼い子に算数に興味を持ってもらえるようなゲームを作るには?」というテーマで、弊社のクリエイターが中学生から授業の一環としてインタビューを受けました。

このインタビューを申し込んでくれたのは、算数が大好きな中学生。ゲームで算数の魅力を子どもたちに伝えられないか?ということを考えるなかで、弊社の教材を知ったとのことで、メールでお問い合わせをいただきました。

−−−メール抜粋−−−

本校には自分でテーマを設定して追究する学習があります。
僕は、「幼い子に算数に興味を持ってもらえるようなゲームを作る」というテーマについて調べています。
これまでの調べ学習を通して、「どのような手順でゲームを作ればよいか」や「ゲーム要素をどのくらい入れるのがよいか」ということなどに疑問をもちました。
調べ学習を進める中で、御社のことを知り、ぜひともお話を伺いたいと考えています。

今回のインタビューでは、同じく算数好きである弊社クリエイターが、ゲーミフィケーション(ゲームの要素を入れること)や、教材作りで大切にしていることについてお答えしました。

累計ユーザー数300万人を突破した知育アプリ「シンクシンク」や、STEAM教育領域の教材を自宅で学べる通信教育「ワンダーボックス」の開発に携わったクリエイターならではの知見をご紹介いたします。

前編では、ゲームの要素を持った「教育コンテンツ」を制作する上での、ワンダーファイの持つこだわりにフォーカスしてお届けします。

アプリ教材だから「どうしてこうなる?」の過程がわかる

学生:算数に興味をもってもらうために、ワンダーファイの教材開発ではどのような工夫をされていますか?

秋葉(クリエイター):アプリの強みを活かすことと、考える楽しさを味わってもらうことを大切にしています。

アプリの強みを活かすことの具体例として、立体の問題があります。紙だと、◯か✕かを選ぶという問題があったとして、選んだ答えが正解か不正解かという情報しか伝えられません。アプリなら、立体が動いて「こういうふうになるからこれが正解なんだな」ということをよりわかりやすく表現できます。

例えばこちらは「はこになる」という問題なのですが、◯か✕どちらを選んでも、実際に箱になったかどうかを確かめられます。

正解/不正解を提示するだけではなく、立体が動いて答え合わせをするということが大切です。どう間違っていたのかわかるのが、アプリならではの強みだと思います。

「どう間違っていたかがわかりやすい」というのは、「考える楽しさを味わってもらうこと」とも関わってきます。楽しいと感じる部分が、単純な刺激によるものではなく、考えた結果が思った通りになったといったことであってほしい、といいましょうか…。「わかった!」「こうだったのか!」という喜びを味わってもらいたいという思いがあります。


「考えるのが楽しいからやりたい」に至るまでのお手伝いとしてのゲーミフィケーション

学生:ゲーム要素をどれだけ入れるようにしていますか?

秋葉:「頑張ったことを承認する」「またプレイしてもらうためのモチベーションを維持する」ために、ゲームの要素を入れています。ただ、あくまで「問題が楽しいからやる」というのが理想です。

例えばシンクシンクでは、問題を解くと星がゲットできて、星が溜まった数に応じてロケットが手に入ります。

この仕組みの役割の一つは、頑張ったことを承認してあげることです。もう一つは、またプレイしてもらうモチベーションを維持してもらうこと。 ただちょっと注意したいのが、「星がもらえるから頑張る」だけにはなって欲しくないなというところです。「問題が楽しいからやる」になってくれるのが理想ではあります。

「問題が楽しいからやる」という状態になってくれたら、極端な話、ゲーミフィケーション(ゲームの要素を入れること)は必要ないとも言えます。ただ、最初から「考えるのが好き!」という子ばかりではありません。モチベーションを持ってもらうために、ある程度ゲーミフィケーションを入れる必要があります。ですので、ゲーム要素は、「あると楽しいけど、やりすぎな感じにはしない」といった、絶妙なバランスで入れています。

それぞれの問題のプレイ体験の「味付け」にも、ゲーミフィケーションの要素があります。例えば何かをタップしたときにそれがギラギラ光るとか、移動するときにキャラがすごく楽しげに動くとか。興味を持ってもらったり、考える楽しさを味わうところまでいってもらうには有効な要素です。

「つながると虹色にきらきらする」という演出も、タイミング・効果音・見せ方について、思考の邪魔にならず納得感のあるやり方を検討する

あればあるほど楽しい感じがするのですが、やはりここでも「考える楽しさ」を優先したいという気持ちがあります。レスポンスがひたすら楽しすぎると、考えることの楽しさを損なう可能性があります。

「思考を楽しむ」ことが第一で、味付けが多すぎると気が散ってしまい、考えることに集中できなくなります。例えば「こういうアニメーションを入れよう」というときも、それは本当に必要か?ということについて開発チームで常に話し合います。

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後編に続く

 

学生からの質問に受け答えする中で、私たちが日々教材作りで大切にしていることが改めて浮き彫りになったインタビューでした。

後編では、「子どもたちからのフィードバックで、難易度設計を磨く」「子どもがやりたいと思える提示の仕方」についてフォーカスしてお届けします。

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ワンダーファイ

「世界中の子どもが本来持っている知的なわくわくを引き出す」をミッションに、思考力・STEAM領域の教材・知育アプリ・知育書籍などを制作する会社。150ヶ国300万ユーザーを持つ「シンクシンク」、デジタル・アナログを組み合わせたSTEAM通信教材「ワンダーボックス」など。