「算数のプロ」2人がすすめる、幼少期に“算数センス”を養う遊びとは?

「わが子には、算数を好きになってほしい」――。そう願う親御さんは多いと思います。3歳から算数を遊びながら楽しめる『角川の集める図鑑GET! あそべる算数』(KADOKAWA)監修者で、思考力育成アプリ「シンクシンク」を開発した川島慶さんと、算数教育家・安浪京子さんに“算数センス”を養う、幼少期におすすめの遊び方を聞きました。

もくじ

  • 算数のプロである二人が幼少期にしていたこととは?
  • 今の子は文字がしっかり書けない子が多い!?
  • 親が「算数=つまらないもの」ととらえないで!
  • 小学校入学前に算数の“量感”を鍛えておくと後で差がつく!

算数のプロである二人が幼少期にしていたこととは?

――先生方は子どものころ、好きだった遊びはありますか? その中で今のお仕事につながっていると思うことは

川島 慶先生(以下、川島):子どものころ、車で出かけた渋滞のときには前の車のナンバープレートの数字でよく遊んでいましたね。ただ、私は一般的な、「10を作るゲーム」だけではなく、たとえば6630だったら、「最後の0に棒線を書いたら数字の6。6×6=36の九九になるな」といったちょっと変わった遊び方をしていましたね。小さいころから数に強い子で、整数問題なんかは大好きでした。家庭環境としては、兄が比較的 “手がかかるタイプ”だったので、弟の私は親から基本的には何も言われないぶん、遊びも勉強も好きなようにさせてもらったという記憶がありますね。

安浪京子先生(以下、安浪):私が幼いときは、お絵かきとかレゴブロック的なものでよく遊んでいました。母親が公文の先生をしていたので、プリントの裏紙が大量にあり、そこに描いていましたね。私はリカちゃん人形が欲しかったんですが、そういうおもちゃは買ってもらえなかったんです。家庭環境としては、弟と妹がいて、母親は仕事が忙しくてあまり家事をやらなかったので、私が“頼りになるお姉ちゃん”という感じで家事を手伝っていましたね。

ただ、川島先生と違って私、算数好きな子じゃなかったんです(笑)。公文をしていたので中学からの数学は得意でしたけど、大学受験は理系も文系も関係のない学部ですし、どちらかと言えば人文系で論理的なタイプだと自分で思っています。母親の影響で、教材が無料ということと先生の子ができると宣伝になるという理由から、公文は問答無用でやらされていましたけど、特に好きではなかったですね。むしろ中学受験をしていないので、中学受験の大手塾で算数講師になった時は受験算数がちんぷんかんぷんでした。だから今、中学受験で算数の指導をしていますが、苦手な子の気持ちも分かるのかなとは思います。

今の子は文字がしっかり書けない子が多い!?

――未就学児におすすすめの算数脳を育てる遊びはありますか?

川島:幼少期は五感を刺激する外遊びをたくさんしてほしいですね。時間は有限ですから、家の中でゲーム漬けはもったいない。それもあって、私が開発した知育アプリ「シンクシンク」は時間制限を1日10分と決めているんです。もちろん、図鑑を眺めたり本を読んだり、時にはぼーっとする時間もすごく大事だと思いますよ。

安浪:子どもたちを指導していて感じるのは、「鉛筆が持てない子が多い」こと。今の子は「字を書くと疲れる」と言うんです。デジタルネイティブな彼らは、鉛筆を持つと力が入らなくて字がふにゃふにゃ。それでは計算式も漢字も書けません。そのためにも、幼少期は指先を使う遊びをしてほしいですね。折り紙とか粘土、あやとりなんかもいいかもしれませんね。

こういう話をすると「習い事はピアノ? そろばん?」となりがちなんですけど、教室に入れればいいというわけではなくて。家の中でも外でも指先や五感を刺激する遊びはできますからね。習い事を否定しているわけではないんですけど、せっかくやる気になっても「ハイ、今日はここまで」と時間で区切られてしまうのはもったいないなと思っていて。特に未就学児は集中するまでに時間がかかりますから、ゾーンに入ったら時間を気にせず遊ばせてあげてほしいですね。

親が「算数=つまらないもの」ととらえないで!

――算数の好き嫌いは、家庭での過ごし方や親の関わり方に影響を受けるものですか?

川島:影響は受けると思いますよ。できないことに対して親がマイナスな言い方をしていたり、算数をつまらないものとしてとらえていたり、よくできたらご褒美を与えたりしていると、算数が苦行であり修行になってしまうので、そうなると好きにはなりにくいですよね。

安浪:もちろん親の影響はあると思いますが、生まれながらに興味を持つ子とそうじゃない子がいるもの事実。あとは、算数という科目にわが子をはめようとする、つまりテストの点数だけを求めると、逆効果なこともありますね。川島先生もおっしゃっていましたが、「ママ苦手だから」といったネガティブワードではなくて、できたことを「すごい!」と認めながら、一緒に楽しむ姿勢が好きにつながるのではないでしょうか。算数に限らず、やらされるのではなくて、いかに楽しいもの、面白いものと思わせるかがポイントだと思います。

小学校入学前に算数の“量感”を鍛えておくと後で差がつく!

――小学校で算数を習う前に、身につけておくといい力はありますか?

川島:計算を単なる記号や作業ではなくて、そこに“量感”があることがイメージできるといいと思いますね。

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対談の続きは、AERA with Kids Plusにて掲載しております。ぜひご覧ください。




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(構成/加藤朋美)

〇やすなみ・きょうこ/算数教育家、中学受験専門カウンセラー、株式会社アートオブエデュケーション代表取締役。神戸大学発達科学部にて教育を学ぶ。関西、関東の中学受験専門大手進学塾にて算数講師を担当、生徒アンケートでは100%の支持率を誇る。プロ家庭教師歴20年超。「きょうこ」先生として、受験算数動画の再生回数は400万回以上。朝日小学生新聞、日本経済新聞、朝日新聞出版「AERA with Kids」などの各種媒体(紙面/誌面/メルマガ/YouTube/インスタ等)で様々な悩みに答えている。音声配信サービスVoicy「きょうこ先生の『教育何でも相談室』」も話題に。中学受験や算数に関する著書、連載、コラムなど多数。

〇かわしま・けい/東京大学大学院工学系研究科修了。算数・数学好きが昂じて学生時代よりベストセラー問題集「なぞぺ〜」の問題制作に携わる。2007年より花まる学習会で4歳から大学生までを教える傍ら、公立小学校や国内外児童養護施設の学習支援を多数手掛ける。2014年株式会社花まるラボ創業(現:ワンダーファイ)。開発した思考力育成アプリ「シンクシンク」は世界150カ国300万ユーザーを持ち、「Google Play Awards」など、国内外で受賞多数。2020年にSTEAM領域の通信教育「ワンダーボックス」を発表。過去に、東京大学非常勤講師を務める。算数オリンピックの問題制作に携わり、2017年より三重県数学的思考力育成アドバイザー。

 

全国の書店にて発売!
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角川の集める図鑑GET! あそべる算数
監修:川島 慶
【定価】2,970円(本体2,700円+税)
【発売日】2024年7月10日
【サイズ】A4判 変形
【ISBN】9784041149553

 

 

 

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ワンダーファイ

「世界中の子どもが本来持っている知的なわくわくを引き出す」をミッションに、思考力・STEAM領域の教材・知育アプリ・知育書籍などを制作する会社。150ヶ国300万ユーザーを持つ「シンクシンク」、デジタル・アナログを組み合わせたSTEAM通信教材「ワンダーボックス」など。